すぐに疲れる

すぐに疲れる・疲れやすいのはなぜ?
息切れや眠くなることも

すぐに疲れる・疲れやすいのはなぜ?息切れや眠くなることも

「少し動いただけで疲れる」「体がだるくてやる気が出ない」など、体の疲れを感じる方もいると思います。
疲れを感じることで下記のように色々な症状が起こります。

  • 思考力の低下
  • 集中力が続かなくて仕事ができない
  • 気分が落ち込む
  • 寝たのに疲れが残っている
  • 夜中何度も起きてしまう
  • すぐ座ってしまう
  • 倦怠感
  • 頭が痛い

など
疲れを感じやすい方は食事内容や生活習慣の影響だったり、病気の症状だったりする可能性もあります。

すぐに疲れる時に
考えられる原因と疾患

栄養不足

人間の体は口から食べた物の栄養を吸収しています。そのため、栄養が足りなくなると、すぐ疲れてしまう場合があります。

糖質不足

糖質(炭水化物)を摂取すると、体の中で分解されてブドウ糖などの栄養素となり、細胞のエネルギー源として消費されます。食べ過ぎると肥満を引き起こしますが、足りないと体を動かす際に使うエネルギーがなくなるため、すぐ疲れを感じてしまいます。

鉄分不足

鉄分によって体中の細胞に酸素が運搬されています。鉄分不足は貧血の原因となり、疲労感、無力感、倦怠感、食欲不振、息切れなど様々な症状が見られるようになります。
女性は生理の経血によって多くの鉄分が失われてしまうので、男性に比べ鉄分が足りなくなることが多いです。

タンパク質不足

タンパク質は骨、筋肉、血液、臓器などを構成するのに欠かせない栄養であり、生きていくために重要なものです。足りなくなることで、筋肉量が減ったり筋力が低下したり、貧血を起こし、すぐに疲れてしまうようになります。

ビタミンB不足

ビタミンB群は、タンパク質、脂質、糖質などからエネルギーを作り出す際に働く栄養素です。なかでも疲労の回復を促すビタミンB1、B2、B6が足りなくなると、すぐ疲れを感じてしまいます。

睡眠不足

睡眠は体や脳を休めるために重要です。また、寝ている時に細胞の働きを促進する成長ホルモンの分泌や食べ物の栄養を吸収してエネルギー源へと変換されます。睡眠時間だけでなく、睡眠の質を高めることも大切で、眠りが浅いと体の疲れは取れにくいです。

運動不足

運動不足が原因で新陳代謝が悪くなり、水分や血液の流れが低下します。その結果、筋肉に乳酸がどんどん蓄積されて、体が疲れやすくなります。また、運動不足は神経的疲労や精神的疲労を引き起こしやすいとされています。

低血圧

低血圧になると体中の血流が低下して、脳まで十分な血液が送られなくなり、体のだるさ、頭痛、ふらつき、めまいなどが起こります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、疲れが取れない、体が重く感じる原因の1つです。この病気は寝ている時に呼吸が止まります。無呼吸とは10秒以上息が止まる状態を指し、7時間睡眠で無呼吸状態が30回以上ある方、もしくは1時間に5回以上無呼吸になる方が睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
ただ、本人は寝ているため病気に気づかないままのケースが多く、潜在患者数は300万人いると考えられており、「21世紀の国民病」と呼ばれています。しっかり治療を受けることで症状は改善できるため、怖い病気ではありません。しかし、治療せずにいた場合、心臓循環障害、脳血管障害、高血圧といった病気を引き起こす可能性があります。

心不全

心不全は心臓の機能が低下して、血液を全身に供給しづらくなる状態です。心臓が血液を全身に送る機能をポンプ機能とすると、この機能が低下することで血液が足に滞ります。その結果、むくみが現れたり、すぐ疲れたりします。

糖尿病

糖尿病は、高血糖が慢性化して免疫力が落ち、様々な病気を発症するリスクが高くなります。疲れがなかなか取れない、体のだるさが長く続くといった症状に悩むことがあります。血糖値が基準値より高い(HAb1cが高い人)などの異常を健康診断で指摘された場合、検査を定期的に受けることをお勧めします。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンは体の代謝を上げる役割を担うホルモンで、甲状腺から分泌されています。
甲状腺機能低下症になると甲状腺ホルモンが不足して、疲れやすい、便秘、食欲不振といった症状が現れます。

副腎機能不全

腫瘍、炎症、感染などの要因から副腎の機能が悪くなり、分泌されるはずのホルモンがうまく分泌されなくなる病気です。発症すると様々な症状が現れます。
副腎は2つある腎臓の上に位置し、ステロイドホルモン、アドレナリン、性ホルモンの分泌を行う臓器です。ステロイドホルモンが足りなくなると、低血糖、低血圧、疲れやすいといった症状が起こります。

自律神経失調症

ストレスが原因で自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態です。
原因はストレス以外にも、生活習慣の乱れやホルモンの分泌異常などが挙げられます。発症すると、過敏性腸症候群、不整脈、起立性失調症候群、過換気症候群、円形脱毛症、メニエール病など様々な病気の引き金になります。これらの病気により、疲れが取れない、体がだるいなどの症状が現れる場合があります。症状に合った診療科を受診しましょう。

貧血

血中のヘモグロビンが減少して、全身に酸素が行きわたりづらくなる状態です。本来、ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割を担っていますが、貧血を起こすことで様々な症状が現れます。貧血の原因は多岐にわたり、年齢や性別などでも違ってきます。
女性は月経、30~40代で元気に仕事をこなす年代だと胃潰瘍・十二指腸潰瘍、ご高齢の方では血液の病気や悪性腫瘍が原因になる場合があります。
月経では、血の塊や過多月経やよく見られ、胃潰瘍であれば、食事中のみぞおち周辺の痛み、むかつき、胃もたれが現れ、十二指腸潰瘍であれば、空腹時に痛みが現れます。他にも、皮下出血や体重減少があると要注意です。

慢性疲労症候群

日常生活を送るのが困難になるほど強い疲れを感じる状態が半年以上続く病気です。強いストレスを感じた後に症状が現れる傾向があるため、体に異常なく過ごしていても急に発症する場合があります。
重度の疲労感の他に、脱力感、微熱、集中力の低下、頭痛、よく眠れない、抑うつ症状、筋肉痛、腹痛、関節痛など様々な症状が生じる可能性があります。

うつ病

明確な原因は特定されていませんが、体や心に受けたストレスなどをきっかけに、脳の機能に異常が生じて症状が現れると考えられています。
気持ちが落ち込み、全てにおいて興味が薄れ、すぐ疲れる、睡眠障害、食欲低下などが起こり、普通に生活できなくなるケースもあります。

疲れやすい体を
疲れにくい体にするために

筋肉をほぐす

疲れを取るためには体をほぐすのが有効です。強張った筋肉をゆっくり伸ばすと、血行改善に繋がり、全身へ酸素や栄養が供給しやすくなります。さらに、筋肉に溜まった疲れの原因物質「乳酸」を体外へ排出しやすくなります。また、体の疲れだけではなく、精神的な疲れの改善も見込まれます。縮んだ筋肉を伸ばすと、副交感神経が優位になって心拍数や血圧が落ち着き、体がリラックスします。
ストレッチの効果を十分に得るためには、腹式呼吸がポイントです。鼻から力いっぱい息を吸い込んでお腹に空気を入れ、口から少しずつ吐き出しましょう。このポイントを意識しながら行うと、副交感神経の働きが活発になり、よりリラックス効果を得られます。また、お風呂から上がった後や夜眠る約15分前にストレッチしてから就寝するのが望ましいです。ただし、就寝する前に激しく体を動かすと眠りが浅くなる恐れがあるため注意してください。体が気持ち良いと感じるくらいのストレッチがお勧めです。

栄養バランスの整った
食生活

1日3回、栄養バランスの整った食事を摂ることで疲労回復に繋がります。朝食と昼食にしっかり食べるように心がけ、夜はそれより軽めのメニューにして、胃腸の負担を軽減することが大切です。主食になるご飯やパンなどの糖質(炭水化物)は体のエネルギー源になりますが、ビタミンB1などを一緒に食べると、より糖質の代謝が上がり、エネルギーに変換されやすくなります。糖質だけ多く食べても疲労回復効果は得にくいです。これは、他の栄養素でも同じことが言えます。偏った食事だと栄養素は体内でうまく働かないため、栄養バランスの取れた食生活を意識することが重要です。

十分かつ良質な睡眠を
とる

十分な睡眠をとることで体と脳が休まります。ただし、8時間以上の睡眠は死亡リスクが上がると言われており、自分に合った睡眠時間を確保ことが重要です。昼間に眠気を感じたり、頭が働かなかったりするなら、睡眠が足りていない可能性があります。また、自分に適した睡眠時間を確保するだけでなく、質の良い睡眠になるように意識しましょう。枕の高さや寝室の電気など、周りの環境をリラックスして眠れるように調整してみるのもお勧めです。就寝前までスマホを見る方は、脳が刺激されて睡眠の質が低下する恐れがあるためご注意ください。また、次の日は休日だからといって夜更かしや朝寝坊すると、体のリズムが崩れ睡眠の質が低下します。睡眠中に疲労回復、脳や体を休める、記憶の固定、免疫機能の増加などが行われています。睡眠の質の向上や睡眠不足に注意して、体のリズムを一定に維持し、生活習慣を整えましょう。

湯船に浸かる

疲れが溜まっていたら、湯船に浸かると疲労回復の効果が期待できます。体が温まってリンパや血液の流れが促進され、老廃物を排出しやすくなるため、疲労回復に繋がります。さらに、体中の筋肉の強張りがとれ、リラックス効果も得られるので、精神的な疲労回復にも繋がる可能性があります。ただし、高温のお湯に浸かったり、長風呂したりすると、かえって体が疲れてしまうのでご注意ください。ぬるめのお湯(40度以下)に約10分を目安にしましょう。

正しい姿勢

インターネットが普及した現代では、長時間、スマホやパソコンを同じ姿勢で見続ける方が多いです。同じ姿勢を長時間続けると、筋肉が強張って乳酸がどんどん蓄積し、血行不良に繋がり、疲労も取れにくくなります。休憩時間を作り、凝り固まった肩や首などの筋肉をストレッチしてほぐすことが予防になります。

軽めの運動

疲れた時に軽めの運動をすると血流が促されて、筋肉に蓄積した乳酸が排出されやすくなります。また、「セロトニン」という神経を伝達する物質が分泌され、自律神経が整うことで、神経や精神的な疲れを改善する効果が期待でき、イライラやストレス解消に繋がります。
なお、激しい運動はかえってストレスになり疲れを感じてしまうため、自分の好きな運動を無理のない範囲で行いましょう。

なかなか疲れが
取れない場合は
当院にご相談ください

なかなか疲れが取れない場合は当院にご相談ください疲れを感じたことがない現代人はほとんどいないと思います。何らかの要因によって疲れたり、いくつかの要因が重なって疲れたりするのは、誰もが経験があるでしょう。なぜ疲れているのか、どのように対処すればいいかを考えて、自分の体に適した方法で疲労回復に繋げることが大切です。ただし、なかなか疲れが取れない方は、我慢し続けるのではなく専門医に相談しましょう。
すぐ疲れを感じる場合、病気が原因になっていることがあります。疲れやすさが病気の症状によるものであれば、専門的な治療を要するため、対処しても疲れが取れない方は速やかに当院までご相談ください。